いかに布団から出るか。
「別に、普通に出ればいいじゃん」
と思うかもしれないが、朝起きるのが苦手な人にとっては、切実な問題である。
せっかく目が覚めても、布団の中で、いつまでもモゾモゾしているうちに、いつの間にか眠ってしまい、気づくと午後。
「あ~、学校行けなかった。はあ、もういいや、他の先生が何とかするだろう」となってしまう。
地獄には行ったことがないけど、おそらく『布団の外地獄』はあるだろう。
「針山地獄」「血の池地獄」など、数あるアトラクションの一つにそれはある。
寒い冬の日に、布団で寝させられて、温まって、気持ちよくなってウトウトしてきたところで、パーマ頭の中年のおばさんに急に布団をはぎ取られてしまう。
「早く起きなさい! ほら、掃除するんだから、邪魔邪魔!」
ぶぃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん
と、周りに掃除機をかけられてしまう。それも海外製の静音にこだわりが全くないタイプの掃除機を。甲子園のサイレンみたいな音がするやつを。どうしたら、そんなに高い音が出せるようになるのか知りたくなるくらいのやつをである。
こちらは薄いパジャマしか着ていないから、寒さに耐えかねて、布団を求めて餓鬼のように地獄をさまようしかなくなってしまう。
布団から出るのはそのくらい苦痛である。
僕は考えていた。
どうにか、それほど苦痛を感じることなく、布団から出られないものか。
いつも、どうやって布団から出ているのか、意識していないという場合がほとんどだけど、目が覚めたら、意識的にやるだけで布団から出られる
「布団から出る技術」
を作れないものだろうか。
<後編に続く>
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