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小川泰弘

バレンティン選手のホームランと並んで、田中将大投手の記録も注目されているが、ヤクルトファンの僕にとって今シーズン面白いと思うのは、ライアン小川こと小川泰弘投手である。

現在セ・リーグではトップの13勝をあげていて、ノーラン・ライアンを模した独特の投球フォームが注目されている選手であるが、僕が彼を見て、すごいなあと思うところは、フォームが面白いとか、勝ち星の数ではない。

簡単にいえば、雰囲気である。狼のような厳しい雰囲気(もっとも、実物を見たわけではないけど)。

とにかく、練習への取り組みかたから何から、とてもストイックなのだ。自分で決めたことは、必ずやるというような精神的な強さ。そういう部分がすごいと思うのだ。

それも、やることが、中途半端ではなく、大胆で徹底している印象だ。あのフォームも、自分の道を絶対貫くという強い意志の象徴のようだ。

下半身は、見た目にもしっかりしているのがわかるほど徹底的に鍛え抜かれていて、日ごろの努力が伺える。スタミナをつけるため一日にニンニクを5個も6個も食べるとか、荒木コーチを待たせていても自分で決めた練習が終わるまでやめないというエピソードもちらりと聞いた。そこまでやるんだなあと、思うことばかり。

僕なんて、自分で決めたこともろくに守れた試しがなく、「早起きをする」くらいのこともなかなか出来ずにいるから、すごく刺激を受ける。

そこまでやるのかと思われるようなことを、周りが何を言おうと貫くみたいな生き方を僕もしてみたい。僕はそういうのに結構憧れるタイプなのだ。

さて、今年、野球ではもう一つ書きたいことがある。甲子園のことだ。それはまた明日。

バレンティン

ということで、野球の話だ。

もうニュースで見て知っていると思うが、昨日バレンティンが55号ホームランを打った。

僕が子供の頃から、シーズンの最多ホームランといえば55本というのは常識だった。

松井秀喜をはじめ、多くのホームランバッターが、この55本を目指し、「55」の背番号を背負った。打者にとって、「55」というのはそれだけ特別な数字であり、それだけ高い壁である。

その記録に並び、破ろうとしているのが東京ヤクルトのバレンティン外野手である。

ヤクルトファンの僕から見て、感慨深いものがある。

応援しているチームのバッターが、というのも、もちろんそうだが、この感慨深さは、スラムダンクの「あの桜木が……河田にマークされてる。あの桜木が……」という時などとよく似ている。

「あの、バレンティンが……、すごいことになってる。あのバレンティンが……」という感じなのだ。

バレンティンは去年、一昨年とホームラン王をとっていて、よく知らない人から見れば「すごい外国人バッターだな」くらいのイメージかも知れないけど、ヤクルトファンにとってバレンティンといえば、けっこうな問題児だった。

もちろん、長打力に定評はあった。苦しい場面で、彼のホームランに救われたことなど、何度あったことか。でも、当たればホームランだけど、三振ばかりで打率はからっきしという博打みたな、あるいは好不調の波が大きく、ハイスペックのパチンコ台みたいなバッターというイメージは確実に定着していた。

守備ではカバーをサボるし、怠慢プレーは茶飯事だし、歯が痛くて遅刻したり、試合中にツイッターをやって怒られて、罰金を取られたり、不調時、気分を変えようと金髪にしたが、首脳陣から反感を買って、翌日坊主にしてきたり。

その問題児を「まったく、しょうがねーやつだな」といいながら、それでも「だけど、かわいいところもあって、憎めないやつだ」と見守ってきたのがヤクルトファン。だから、ファンにとって「嗚呼……、あのバレンティンがねえ……」と、やや感慨深い気持ちにもなるわけである。

今年は成長をとげ、打率もトップ。ご存知の通りの大活躍。守備や走塁は相変わらずと思われるが、これだけ打っていれば、文句はない。

あとは、日本新記録の56号が出るのを待つのみ。

それは明日かもしれないし、明後日かもしれない。


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