バレンティン

ということで、野球の話だ。

もうニュースで見て知っていると思うが、昨日バレンティンが55号ホームランを打った。

僕が子供の頃から、シーズンの最多ホームランといえば55本というのは常識だった。

松井秀喜をはじめ、多くのホームランバッターが、この55本を目指し、「55」の背番号を背負った。打者にとって、「55」というのはそれだけ特別な数字であり、それだけ高い壁である。

その記録に並び、破ろうとしているのが東京ヤクルトのバレンティン外野手である。

ヤクルトファンの僕から見て、感慨深いものがある。

応援しているチームのバッターが、というのも、もちろんそうだが、この感慨深さは、スラムダンクの「あの桜木が……河田にマークされてる。あの桜木が……」という時などとよく似ている。

「あの、バレンティンが……、すごいことになってる。あのバレンティンが……」という感じなのだ。

バレンティンは去年、一昨年とホームラン王をとっていて、よく知らない人から見れば「すごい外国人バッターだな」くらいのイメージかも知れないけど、ヤクルトファンにとってバレンティンといえば、けっこうな問題児だった。

もちろん、長打力に定評はあった。苦しい場面で、彼のホームランに救われたことなど、何度あったことか。でも、当たればホームランだけど、三振ばかりで打率はからっきしという博打みたな、あるいは好不調の波が大きく、ハイスペックのパチンコ台みたいなバッターというイメージは確実に定着していた。

守備ではカバーをサボるし、怠慢プレーは茶飯事だし、歯が痛くて遅刻したり、試合中にツイッターをやって怒られて、罰金を取られたり、不調時、気分を変えようと金髪にしたが、首脳陣から反感を買って、翌日坊主にしてきたり。

その問題児を「まったく、しょうがねーやつだな」といいながら、それでも「だけど、かわいいところもあって、憎めないやつだ」と見守ってきたのがヤクルトファン。だから、ファンにとって「嗚呼……、あのバレンティンがねえ……」と、やや感慨深い気持ちにもなるわけである。

今年は成長をとげ、打率もトップ。ご存知の通りの大活躍。守備や走塁は相変わらずと思われるが、これだけ打っていれば、文句はない。

あとは、日本新記録の56号が出るのを待つのみ。

それは明日かもしれないし、明後日かもしれない。


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