その中には、僕がたまたま見ただけなのに、期待を大きく超える感動をプレゼントしてくれた競技がいくつもあった――。
期待すると裏切られるということを今までの人生で学んできた僕が、期待しないようにと自分に言い聞かせながら、しかし、そのプレーを見ているうちに、次第に引き込まれてゆき、気付くと「ここまで来たんです。どうか勝たせてあげてください」と神さまに祈るような気持ちで見守っていた。そんな名勝負を中心に今日はまとめてみよう。
僕がセレクトする、オリンピックベスト場面集:体操以外編
錦織圭、ナダルを破って銅メダル
錦織強いなって。マレー戦も見てたけど、そういうすごい選手とストローク戦では遜色なく渡り合っていて、ナダルには勝ってしまった。ファーストサーブの成功率がもっと上がれば、なんて素人目には思うけど、あの戦いぶりを見ると、グランドスラム優勝もあり得るぞなんて期待してしまう。
卓球女子団体、シンガポールに勝って銅メダル
男子も銀メダル取っているのだけど、たまたま中継を見ていたのがこちらだった。
テニスも、バドミントンも、バレーもそうだけど、ラリーポイント制って言うのか、こちらがミスをすると相手に点が入るみたいな競技って、ほんとに緊張感が強くて……。普段、野球中心に見ているから、小さなミスでも取り返しがつかない大きな差になってしまうという、その感じがかわいそうに見えてくる。
そのハラハラした状態で最後勝つと、一気に「うおお~」って興奮が押し寄せてくるわけで……。そんなわけで、これを選ばせてもらった。
バドミントン、タカマツペア16-19から逆転の金メダル
怖くて見てられないとすら思える展開だった。しかし、顔を見ていると、相手のデンマークのペアより、集中しているように見えた。これはゾーンに入っている選手の目だと。もちろん、ただの思い込みかもしれないが……。
だから僕も諦めなかった。次の1点を取るんだという強い気持ちで戦った。
――勝ったときの感動は計り知れないものがあった。
そして、この二人のコンビネーションの美しさ。僕がもしフィギュア職人だったら、二人のフィギュアを作っていただろう。
それにしても、こういう試合、逆に自分がデンマーク人でデンマークを応援している立場だったらどんな気持ちだろうと思わずにいられない。試合後、握手を交わしているのを見て、何かホッとするものがあった。
フェンシングの人
オリンピック中、印象に残ったといえば、コマーシャルでよく見たこの人。
最初、ドラマ仕立てにするために、設定上そうしている俳優さんだと思った。ところが敷根崇裕さんといって、本当にフェンシングの選手だという。
これほど印象に残りやすい顔は俳優に向いていると思う。素朴さがいい味を出している。
それを見越してのCM起用なのかな? やっぱり。 だとしたら、CMプランナーの人の目の付け所すごいね。
普通に正面を向いているだけなのに、何か悲哀のようなものが伝わってくる。「男って悲しい生き物だよね」みたいな気持ちがこみ上げてくる。「大丈夫、生きていればいいこともあるよ」と言ってあげたくなる。たぶん、勝手にこっちがそう見てしまうだけなのだけど、本人がそう見えるように演技をしているのなら、本当に俳優さんに向いている。
明日はその他、オリンピックに関する雑感を思いつくままに書いて、オリンピックの話題は閉幕としようと思う。
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