「何かを習慣にしたい」と思った時、人はそれをやるかやらないかという極端に走りがちである。
いい習慣なら「毎日続ける!」、悪い習慣は「もう2度とやらない!」と、ゼロか100か、全か無か、というところに行きがちである。
まさに、これが失敗の原因である。
その考えをやめて、「自分に合わせて程度を変える」と考える方がいい。
いいことなら「回数を増やす」、悪いことなら「回数を減らす」。回数が無理なら、一回あたりの量を増やすか減らす。
いい習慣を今までやってこなかったのはなぜか? 悪い習慣を断てなかったのはなぜか? そうしないと辛いとか、そうすると気持ちいいとか、なにかやむを得ない事情があったはずだ。感情に関わることは、もはや「やむを得ない事情」なのである。
やむを得ない事情なのに、「自分の意志が弱い」などと自分の感情や気持ちを否定してしまうと、無理が生じる。無理は続かない、どころか無理は人から力を奪う。今までのよかった部分にまで悪影響をおよぼす。
無理なく、確実にできることだけをやるべきなのである。もし無理が生じるなら、期間を設けるべきなのである。
「まずはできるところから始めて徐々によくしていきましょう」ということが言いたいのではない。それだと「もっとよくしたいけど、今はこのくらいで我慢しよう」ということになって、ストレスが生じてしまう。
言いたいのは、「いい習慣」の中にも悪い部分があって(時間をとられるとか、エネルギーを使うとか)、「悪い習慣」の中にもいい部分がある(楽だとか、気持ちがいいとか)のだから、何も完璧に続けようとしたり、完璧に排除したりしない方がいいということである。
「本当は完璧にやりたいけど、できないから妥協する」のではない。あくまで「完璧には変えない方がいい」のである。
いい悪いにかかわらず、ある習慣を続けることのメリット、デメリット、両方の丁度いいバランスを発見して、最大限にメリットを味わえるように調整する。
そのバランスこそが「自分らしさ」ということにしてしまえばいい。
ミキサーのつまみを調節するように、いろいろ動かしながら、自分にとって丁度いい位置を探すことを楽しめばいいのである。
最終的につまみが振り切れて、「完璧にやるのが一番心地いい」という場所に調整されることもあるだろう。もちろん、それもいい。自然とそうなったのだ。無理がない。
無理がないなら、続く。
そうやって、習慣は作られていく。
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