シュビビンライダー

ラジオで耳にはさんだのだけど、最近の小さな子供は三輪車ではなく、二輪でペダルがなくて、足で蹴って進むタイプの、小型自転車に乗って遊ぶらしい。

耳にはさむとき、強くはさみすぎて、ちょっと血が出て、かさぶたになってかゆくなったことはさておき、その乗り物の名前を忘れてしまった。

シュビビンライダーみたいな名前だったような気がする。

幼き時分からそれに乗ることで、自転車にすぐ乗れるようになるのだという。

昔は自転車に乗る練習というと、後ろの荷台の部分を寺門ジモンさんに支えてもらって、「いいか? 絶対に手を離すなよ!」「わかったわかった」なんてやりとりのあと、こぎ始めて、後ろを確認すると案の定ジモンさんが手を離していて、そのまま派手に転ぶというのが定番だった。「離すなっていっただろ!」と帽子をたたきつけながら泣きわめく子供を見て、みんな大笑い。そうやって、子供たちは皆、自転車に乗れるようになったものだ。

それから、時代は進み、自転車の補助輪を外すとき、一緒にペダルも外し、サドルを低くして、足をつきながらバランスを取る練習から始めて、出来るようになったら、ペダルをつけるという自転車練習法が知られるようになった。別に、転ばなくても、自転車に乗れるようになるという事実が白日にさらされたのである。

あれだけ苦労した我々の世代の練習は何だったのか。派手に転んで、二度と消えない傷を作り、親や寺門ジモンに強い不信感を抱いて、「もうおまえらとは一生口きかない」と誓ったあの時間は何だったのか。

とにかく、新しい世代の練習方法なら、ズッコケレスである。

三輪車代わりに乗ることで、その練習を、小さいうちから出来るというのが、そのシュビビンライダーみたいなやつだ。実際、あとからペダルをつけられて、自転車になるタイプのシュビビンライダーもあるらしい。

遊び道具から自転車へのスムーズな移行。

なるほど、確かに理にかなっている。

自転車の歴史を見ると、そもそも最初の自転車は、ペダルがなく、足で地面を蹴って進むタイプのものだったという。それにペダルがついて、さらにスピードが出るようになった。

だから、まずは、地面を蹴って進むところから始めて、「ペダルをつけるともっと速く、楽に進むようになるよ」という教え方をした方が、自転車の歴史をたどりながらステップアップできるから、正しいルートな気がする。



今、ちゃんと名前調べたら、ストライダーという名前だった。シュビビンライダーではなかった。

「スライダーでストライク=カウントを取るためのやや高めから真ん中に入ってくるスライダー(松井裕樹が甲子園で投げてた感じのやつ)みたいな名前」と覚えておけばいいと思う。

シュビビンライダーは忘れてください。



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