あの地平線 輝くのは どこかに君をかくしているから
たくさんの灯がなつかしいのは あのどれかひとつに 君がいるから
まあ、いうまでもなく 『ラピュタ』の主題歌「君をのせて」である。
いままで、何となく聞き流していた曲だった。だけど、一度ちゃんと聴いてみたら、泣けて泣けて。
とくに引用したこの出だしのところの詩。この発想、無限に夢が広がる感じ。すごくない?
ゴミ箱に捨てたバナナの皮からコバエが湧いてくるたび、「この中にコバエがホイホイを投入してやりたい。でも買ったばかりのコバエがホイホイをゴミ箱に放り込むなんて、叶姉妹みたいなブルジョワじゃないと無理だな」とか妄想するような日常を送っている僕にはない発想だ。
うらやましくて、比べると自分が矮小に思えて、もうひと泣き追加してしまう。いつか、こういうのが書ける人間になりたいものだ。
調べてみると、作詞は宮崎駿。宮崎駿だったか。やっぱり、宮崎駿ってすごいんだな。ただ者じゃない。
ジブリのアニメは僕が子供の頃から人気があった。周りのみんなはジブリに魂を売っていたけど、僕はそうでもなかった。「ジブリャー」 ではなかった。
だから、ラピュタやらナウシカやらも、見たのは大人になってからだ。それも何回も見ていない。ラピュタは1回だけ。ナウシカも2回だ。
子供の頃にこれらを見ていたら、何か違っていたのかもしれないなんて思ってしまう。
『アリエッティ』なんて、作られたのが最近だから仕方ないけど、もし子供の頃に見ていたら、相当感じ方が違ったと思うのだ。子供の頃、あれを見ていたら――もし自分が小人だったら、なんて妄想に支配された状態でしばらく過ごしていたことだろう。
そういう積み重ねがあって大人になっていたら、僕の創作能力の質もまた違っていただろう。
悔やんでいるわけではない。ジブリと僕はそういう薄い縁だったということだ。別の縁を経て今の自分がいる。
そして、その別の縁が作ったのが、コバエゼリーの銀のフタをペリッとめくるやいなや、コバエがたくさん待っているゴミ箱の中に放り込む叶美香なのである。
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