目が覚めて、気づいたら、耳元を蚊が飛んでいる甲高い音が聞こえる。

手の甲を刺されていた。

鳴り止むことなく、蚊の羽音は聞こえている。

時計を見ると、朝4時だった。外は薄明るい。

気になるので、いったん電気をつけて、あたりを見回してみる。

部屋には壁をはじめ、棚、布団、iPad、僕の肌など、白いものが多いので、蚊がいれば、発見しやすくなっている。だが、飛んでいる蚊の姿は発見できなかった。

あわてて起きて、キンチョールを探してきて、周辺に散布した。

しかし、くたばったようすも、「ギャー、苦しい」などの悲鳴もなく、その後も飛んでいる音ばかりが聞こえる。

そしてやはり、姿を目でとらえることはできない。

プーンと飛んでいる音は確かに聞こえるのだ。

でも、どこを探しても、姿が見えない。

棚の置いてあるあたりから音が聞こえるが
、中身をいったん出してみたりしても、姿は見えない。

1時間くらい、姿の見えない敵と格闘した。神経はすっかり衰弱してしまった。

だんだん、自分の耳がおかしいのではないかとか、疑い始めた。

何かその辺に置いてあるパソコンとか、マルチタップとか、冷蔵庫とか、蚊の音製造機とかの機械の音を、蚊の音だと思いこんでいるのかもしれないと、考え直し、消灯して、再び床に就く。

すると、また、大きな音で、明らかに蚊の羽音が聞こえてくる。

当然、電気をつけても、姿は見えない。


進化の果てに、どうやら、ついに透明の蚊が現れたらしい。

おかげで睡眠が満足にとれなかった。

0 件のコメント:

人気の投稿