買い物を済ませて帰ろうとしたら、外は土砂降りの大雨。
とりあえずスーパーから駅まで移動。
ほとんどの人は駅で立ち往生していた。
僕は傘も持っていなかった。
ただ、駅と外の境目の屋根の下で、スマートフォンを左手に持って、右の人差し指でいじっているたくさんの人たちを見ているうちに、なんだか、イライラに近い感情がわいてきた。
「この軟弱者どもめ! この程度の雨が何だ! 俺が手本を見せてやる!」
と、大きな声で叫ぼうかという勢いで、僕は、雨の中に飛び出して、堂々と歩いた。走ったり、頭をかばったりはしない。雨など降っていないかのように歩いた。
実際、気にしなければ、なんてことはない。ただの水じゃないか。服も俺も、洗濯や風呂でどうせぬれるのだ。今ぬれても同じことだ。スマートフォンだって、こういうときのための防水だろう。
どうだ、見たか、この男らしさ! 俺の「早く帰りたい」という純粋な気持ちは、この程度の雨に左右されるものではないのさ。
それで15分くらい歩いて、さっき、家に帰ってきた。ズボンは水を吸ってだいぶ重くなっていた。服を脱いでシャワーを浴びた。
シャワーから上がり「わかったか、駅の連中よ。雨が止むのを待っていたら、いつまでも帰れないぞ」と思いながら、外を見たら、雨は止んでいた。
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