僕が群馬に住む中学生くらいだったころ、東京の大学に進んだ姉がこちらに帰省していた時、僕の常識をくつがえすようなことを言い出した。
「サティってデパートじゃないらしいよ」
信じがたいことだった。何しろサティは前橋にあるし、なんでも売ってる。
「うそ? サティはデパートでしょ? だって3階建てだよ」
「そう思うでしょ。でもサティはスーパーなんだって」
「いや、スーパーは2階建てまででしょ? 3階建てより大きければデパートだよ」
「私もそう思ってたけど、みんなに違うって言われた。サティとかダイエーはスーパーなんだって。伊勢丹とか、三越とか、群馬だと『スズラン』がデパートなんだって」
「そっか。『スズラン』は8階建てだもんな。8階くらいあるのがデパートなのか」
「単純に規模の問題でもないみたいだけど。そうらしいよ」
姉が先に吊るし上げにあってくれたおかげで、僕は「サティはデパートだ」と主張して恥をかくことはなかった。上に兄弟がいてよかったと思った数少ないエピソードの一つである。
それから少しして、大都会だと思っていた前橋や高崎も、東京から見たらど田舎だったんだなあと知ることになる。
グーグルストリートビューで群馬の風景を見ると、あまりに田舎で笑えてくる。
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