食生活を見直す 第1回

子供の頃からずっと痩せ形で、太っていた日が一日もない。

なのに健康的な食生活ということで調べてみると、たいていの場合「太りにくい」「脂肪がつきにくい」「ダイエットに最適」「低カロリー」みたいなことばかり取り上げられている。

周りからは「もっと食え」と言われ続けた。

「肉を食わないと力が出ないぞ」とバーベキューで死ぬほど肉を食べさせられ、苦しくて体に力が入らなくなり、動けなくなったときも「無理しないで」ではなく、「それを毎日続ければいい」と言われた。

でも肉をたくさん食べようが、甘い物をたくさん食べようが、僕は一度も太ることが出来なかった。

困ったことに、好きな物を好きなだけ食べても、全く太れないのである。

やがて僕が痩せているのは、食べる量が少ないからではないということにだんだん気付いてきた。でも、世間の鈍感な大人たちは、食べないから痩せていると思い込んでいて、僕に食べることを勧めてくる。

痩せている、太っているというのは、どうやら、消化、吸収の力の影響が大きいようだ。

僕の場合、あまり栄養を吸収しない体らしい。だから量を食べても、食べ物が体内を素通りするだけで、太らないのだ。

もっともそれで今まで一度も死ぬことなく、一機も失わずここまで来たわけだから、命にかかわる問題ではないようだ。個性の一つだと思いたい。




そんな僕に合った健康的な食生活とはどのようなものかという探求は何年も前から続いている。

数多くの本を読み、だんだんと方向性が見えてきた。

痩せているのは、胃や腸の働きに問題がある。なので、胃や腸に負担をかけないこと。食べ過ぎないことだ。

小食の方が体にいい。

というのは最近すっかりトレンドになってきているようだ。

マウスとか、サルを使った実験でも、食事制限をした方が、好きなだけ食べさせた方より、年をとるのが遅く、若々しい姿を保つみたいなのがよく紹介されている。

見た目がやたら若いでおなじみの南雲吉則先生も、小食を勧め実践しているし、石原結實先生も、あらゆる病気は食べ過ぎが原因と指摘し、小食を説いている。

小食なんて、痩せている僕が実践しても大丈夫なのかと心配にもなったが、様々な本を漁り、読み返すうち、小食の方がいいというからくりがだんだんわかってきた。



とどのつまりが、食べ物が消化できないと体に大きな負担をかけるということだ。とてもシンプルだ。

たくさん食べると、消化しきれなくなり、活性酸素とかがたくさん発生して体を傷つける。そして、老化や病気を引き起こす。

自分の消化能力以上に食べないことが誰にとっても重要なのである。痩せている僕でもそれは同様。むしろ、消化能力が生まれつき低いと思われる僕ならばなおさらだ。



食べ物を選ぶときは自分がちゃんと消化できるかを考え、消化しにくい物は食べない。消化しきれないほどの量は食べない。

大人たちにもっと食べろと言われても「いえ、私は霞だけを食べて生きておりますので」とやんわりと断ればいい。

これをまず軸に据えておきたい。



――次回(第2回)に続く

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