「やなこと保険」のすすめ

たくさんの人からお金を集めておいて、病気や事故があった時、そのお金を補償に当てよう、もし病気や事故やなければ、お金を払うだけになってしまうかもしれないけど、無事で健康なんだからいいじゃん、というのが保険の考え方である。

この考え方を応用して、個人的に「やなこと保険」というのをやってみてはいかがだろう。

用意するものは「やなこと保険」用の財布か、貯金箱。貯金箱なら、簡単に取り出せるタイプのほうがいい。

一日の仕事を終えて帰宅した時、もしくは寝る前に「今日も無事に終わったなあ」と思ったら、普段使っている財布を開けて、一番大きな額の硬貨(500円がなければ100円、100円がなければ50円といった具合)を一枚、「やなこと保険」用財布か貯金箱に入れる。これは、無事に一日を過ごした自分から、明日やなことがあるかもしれない自分へかける保険である。

こうして、平和な日々を過ごしていくと、500円玉や100円玉が貯まってきて、結構な額になってくる。

そんなある日、仕事で大きなミスをしてしまい、とてもつらい思いをした。

さあ、「やなこと保険」が下りるときである。「やなこと保険」に貯まっているお金を取り出して、パーっと使ってしまうのである。パーっとといっても、千円前後から、数千円分くらいかもしれないが。

欲しかったものを買うとか、寿司の出前をとるとか、ファミレスで美味しい物を食べるとか、コンビニでデザートをたくさん買うとか。その辺は予算と相談して決めればいい(そんなの毎日やってるよというもともと贅沢な人は、もう知らない。一日に貯める額を増やすとかして、レベルを上げてみればいいんじゃない?)。とにかく、予算内で贅の限りをつくすのだ。

もちろん、全額使わなくてもよい。使う金額は自分で決めていい。心の傷の深さは自分が一番わかっているはずだ。「この程度の傷なら500円で十分。残りはとっておこう」とか。

ただ、やなことがあったのなら、少額でいいから必ず使うようにしてほしい。我慢することを習慣にしてしまうと、本当に使うべき時も我慢してしまう。貯めるために貯めているのではなく、使うために貯めているお金だということを理解しておいてほしい。

まあ、毎日やなことしかないという人もいるだろうし、そのへんの基準は各自にお任せする。

「やなこと保険」のメリットは、何かあった時、心の傷を癒すだけではない。その前の段階から、保険ならではの安心が得られる。不安が軽減できる。「今日、大事な営業があるけど、失敗したら、どうしよう」の「どうしよう」の部分が「『やなこと保険』を使って焼肉を食べに行こう」などに変われば、失敗も少しは怖くなくなる。むしろ、わざと失敗してやろうと思えるくらい強気になるというものだ。

他にもメリットはある。自分の財布をチェックする習慣ができることだ。毎日、お金を貯金箱などに移すとき、ついでに自分の財布と残金が確認できる。普段、そのへんに放り投げてたり、上着のポケットに入れたままにしている人は、もしなくなっていても気づきにくものだ。それに、残金がどのくらいあるかも理解していないと、つい使いすぎてしまったりするものだ。「やなこと保険」で、自分の財布やお金をきちんと管理する習慣が、自然とついてくるというわけだ。

さあ、これで、泥棒が入って「やなこと保険」のお金を全部持っていかれてしまうという「やなこと」以外なら、「やなこと」があっても、ある程度は大丈夫だ!

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