おとといの話をする。
風が強い日だった。
家で昼寝をしていたら、外のベランダの方から、ガラガラ、ガラガラと、まるで空き缶が転がるような音が聞こえてきた。
(うるさいなあ)
と思いながらも、昼寝に専念したかったので、無視して、我慢していた。
しばらくして、昼寝を一通り終え、気になっていたベランダを見てみる。
ぞっとした。
おびただしい量の空き缶が、うちのベランダに転がっていた。
空き缶のような音は、本当に空き缶の音だった。
なんだこりゃ。気持ち悪っ。
記念に写真を撮っておけば良かった。
僕のアパートのベランダは、両隣の部屋のベランダと板で仕切られているだけで、作り的には一つながりになっている。
仕切り板の下の方は開いていて、風が吹いたりすると、確かに、空き缶は転がって、下をくぐって他の部屋のベランダを行き来できるようになっている。
誰かがベランダに投げ捨てた空き缶が転がってきたとしても不思議ではない。
だが、その空き缶が、なんで僕の部屋にこんなにたくさんたまってしまっているのだろう。
僕の部屋は、真ん中にあるから、風で転がるとしたら、僕の部屋ではなく、端っこの部屋に全部行くはずじゃないのか。
僕の部屋を狙って、隣の奴が、わざと転がしてきたんじゃないかと疑ってしまう。空き缶を押しつけるために。それを風の仕業に見せかけた犯行じゃあるまいか。
というのは、つぶれた缶も結構あったからだ。丸い缶なら転がってきてもおかしくないが、つぶれた缶は、転がりにくい。人為的にこちらに放り投げている可能性もある。
いずれにしても、ゴミをベランダに投げ捨てた誰かの、いい加減さに憤りを感じる。ゴミ袋に入れて捨てるだけなんだから、そのくらいやれよと言いたい。
仕方なく、僕が代わりに空き缶用の袋に入れて、ゴミ置き場に置いてきた。空き缶の日じゃないけど。許してください。
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