寂しい

一人でいることが当たり前になって久しく、僕に寂しいという感情はなくなったものだと思っていたが、先日それを思い出す夢を見た。

現実では決してあり得ない話だが、夢の中では、僕は結婚していて、新婚夫婦だった。

妻となった人は、とても明るく社交的な人だった。当然友達も多い。人気もある。しかも女性である。そんな人が僕を選んでくれた。

とても幸せな気持ちだった。

でも、彼女は、たくさん友達もいて、活動的だから、すぐ友達とどこかに遊びに出かけてしまう。

彼女にしてみれば、友達と遊ぶ方が、きっと、僕といるより楽しいんだろう……。

僕はまた一人になってしまう。

寂しい……。

どうやら、僕の中で、寂しいという感情は、完全には死んでいなかったらしい。死んでくれて楽になったと思っていたのに。まだ生きていたようだ。

はじめから一人なら、あまり感じずにすむのだけど……。

さて、夢の続きだが、彼女が帰ってくると、喜びでもって、そんな気持ちはすぐ消えてしまう。

でも、テーブルを挟んで食事をするとき、ちょっと聞いてみようと思った。「ねえ、なんで俺と結婚したの?」

その答えを聞き出すことは、夢の時間が短すぎて、できなかった。

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