部屋を片付けるために、ひたすら物を捨てている。
捨てるかどうか迷いながらも、なるべく捨てるようにしている。
そうしていると、使わないだろうなと思いながらも、いつか何かの話の種になりそうで、なんとなくとっておいてある物も出てくる。
例えば、リコーダー。
小学校時代使っていたやつで、大学の授業で使うことになったから、実家から持ってきたやつだ。
捨てても別に問題はないように思う。ここ数年、リコーダーを吹かないといけないような状況になったこともない。
「リコーダーで『チューリップ』を吹かないとここを通すわけにはいかん!」
「くそ、ここを通らないと遠回りになって、パルムが溶けてしまう」
みたいなことに出くわさない以上、別に持っていても何にもならない。
ただ、本当に捨てていいかと思うと、惜しい気がする。リコーダーをとっておくことで、楽しい時間が過ごせることもあるかもしれない。
例えば、奇跡的に僕に彼女ができて、うちに遊びに来たとする。
当然、彼女はいろいろ物色することになる。
そうしたら、リコーダーを発見するわけだ。そこでリコーダーの思い出話とかで盛り上がったりしそうな気がする。
「あ、縦笛とかなつかしいよね」
「そうそう、チャルメラとか吹いたりね、カエルの歌を順番に吹いたりね」
「そうそう、あったあった」
こういう楽しい時間が過ごせるというだけでもとっておく価値はあるというものだ。
「あと放課後こっそり女子の笛舐めたりね」
「え? 女子の笛舐めてたの?」
「いや、舐めてない。ちゃんと我慢してた」
「じゃあ、舐めたかったの?」
「いや、ちがうちがう」
「え? そういう人だったの?」
ああ、ダメだ。これは捨てよう。話の流れが悪い方にしか行かない。リコーダーは捨てたほうがいい。とっといてもろくなことない。
と、そんな感じで迷いながらも、なるべく捨てるようにしている。
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