朝日新聞出版 (2013-04-01)
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タイトルの通り、著者の方は自衛隊でメンタルヘルス教育や、心理面のケアなどをされている。
ちょっと内容を僕なりにまとめて紹介すると、
- 日本では、人に迷惑をかけることを恐れて、疲れていても、自分から休みたいと言い出せなかったりで、「ムリ」をしてしまう人が多い。
- 休めば回復するはずだが、立場などによっては休めずムリが長引いてしまうことがある。
- ムリが長引くと、まず体に不眠、食欲不振、だるさなとが現れる。そして不安やイライラがおこりやすく、余裕がなくなり、思考に柔軟性がなくなるなど性格にも多少変化が現れる。周りも少し変だと気付くのに本人には自覚がない。それをムリのせいだと気付かず、自分の頑張りが足りないせいだと思って、さらにムリを重ねていく。
- それがさらに続くと、「別人化」する。考え方やもののとらえ方が明らかに変わってしまう。自分を責めて、自信を失い、うつになったり、死にたくなったりする。それでも周りに迷惑をかけたくない、弱みを見せられない、と表には出さずにムリを続けてしまう。柔軟な思考も出来ないので、ひっくるめて全て自分が悪いと思い込んでしまう。
- そして、いきなり仕事を辞めたり、失踪したり、自殺を図ったりという極端な形で表面化する。ムリは、そういう風に段階的に進行していく。
僕がチェーンのコーヒーショップでバイトしていたとき、他の店舗の店長が突然辞めたり、失踪したりという例を見てきた(よく応援にかり出された)。なるほど、そりゃあそうなるなと思った。飲食店の店長の仕事なんて、明らかにハードなのが見ていて分かる。
- そういう重度のムリを防ぐためには、まず早めに疲労に気付くことが最も大切で、体からのサイン、行動の変化などを見逃さないことが大事。
- けど、なかなか気付きにくいので、始めから、休みを予定に入れて、必ず休むように時間で管理する。
- それでもムリをするのが好きな人は、頑張らない自分を認めるための価値観の修正も必要である。
そこで、頑張らない自分を認めながら頑張るための「目標の7~3バランス」というのが紹介されている。
自分の理想とする目標が10だとすると、7~3を具体的に取るべき行動として設定して、頑張ろうとする自分の意識と、今のままを維持しようとする無意識を両方満足させるようにバランスを取るのである。
「明日から1時間早く起きたい」と思ったら、まずは30分にしておく、みたいなことである。その方が挫折する可能性は少ない。
ポイントは調子がいいから、「10」出来そうだ、「10」やりたいと思っても、「7」までに抑えること。そうやって走りすぎないようにして、エネルギーを残す。そうすると、調子が悪くても「3」くらい出来ればいいという感じになる。
我々の多くが「10」「10」「10」「0」「0」「0」「0」「0」「0」……というありがちな三日坊主パターンを繰り返して、成長できていないこと考えてみるとわかりやすい。
自信をつけるには成功体験を積み重ねることが重要だという。理想の「10」を始めから狙って失敗するより、確実に出来る「7~3」を積み重ねて、自信をつけていく方が、より早く成長できるだろう。
僕が思うに、この7~3くらいというのは、ムリを防ぐだけではなく、確実に、着実に成長していくために最も有効な方法なのではないかと思う。
ムリは一時的には有効かもしれないが、決して続くものではなく、長い目で見れば結果的に生産性を落とすことになる。
働く全ての人にとって大事な内容なので、ぜひ読んで欲しい本である。
特に頑張りすぎて、うつになった人は、傍からは頑張っていないように見えることもあるので、周囲からの理解も大切。だからこそ、この本の内容が多くの人に広まるといいと思って紹介させていただいた。
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