深海

上野の国立科学博物館でやっている、特別展「深海」に行ってきた。

僕が中学生の頃、クラス対抗合唱大会みたいなのが、毎年あって、3年生の時、歌ったのが『海の不思議』という歌だった。(YouTubeでも聴けるよ)

その歌の歌詞では
人間は宇宙へ飛んで 月の石まで持ち帰ったが 
地球の海の一番深いところへは とてもじゃないがまだ行けない

と言っていたから、やっぱり水圧とかで行けないんだなと、ずっと思っていた。

でも、違った。今の技術なら行けるのだ。

1960年に、潜水艇トリエステ号が、水深1万メートルを超えるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵(地球の海の一番深いところ)に行っている。

余談だが、2012年。『タイタニック』や『アバター』で有名な映画監督のジェームズ・キャメロンが、ディープシーチャレンジャー号で、自ら操縦桿を握ってそこまで潜っているらしい。トリエステ号は2人乗りの潜水艇で、その後有人の潜水艇がチャレンジャー海淵に降りたことはなかったので、ジェームズ・キャメロンは世界で3人目に地球の海の最深部に到達した人間なのだという。

僕が中学生の頃の段階で、『海の不思議』の歌詞はすでに古い情報だったということか。
「とてもじゃないがまだ行けない」というのは、1960年以前の話だ。僕たちのクラスは、古い情報を高らかに喧伝していたことになる。

そうか。順番的には、アポロ11号の月面着陸とか、そういうのがあってから、『海の不思議』という歌が作られて、それから、トリエステ号が海の最深部に行ったという流れだな。

と、思って調べてみると、月面着陸は1969年のことであり、それより先にトリエステ号は一番深い海に行っていることになる。

となると、『海の不思議』という歌は、そもそも間違っていたということになる。作詞者が知らなかったということだ。

つまり僕たちのクラスは、間違ったことを声高らかに大合唱していたということになる。そりゃあ、何の賞も取れないわけだ……。

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